こだわりアカデミー
約8300年前、岩陰や洞窟で暮らしていた縄文人。 その生活実態に迫る
国内最古級の埋葬人骨を発掘!
国学院大学文学部教授
谷口 康浩 氏
たにぐち やすひろ

1960年生まれ。83年国学院大学文学部史学科卒業。85年同大学大学院文学研究科(日本史学専攻)博士課程前期修了。87年博士課程後期中退。2007年国学院大学文学部教授文学部准教授。12年より現職。『環状集落と縄文社会構造』(學生社)、『縄文時代の考古学』全12巻(共編著、同成社)、『縄文時代の社会複雑化と儀礼祭祀』(同成社)などの著書がある。
2017年5月号掲載
縄文人の生活文化はエコロジーの源泉。現代人の生きるヒントに
──お話を伺っていると、考古学の研究では思った以上に先端技術が導入されているようですね。これまで謎だった縄文という時代が、これからはどんどん解明されていくのでは?
谷口 そうですね。特に先史時代の分野では、今まで分からなかった新たな事実が解明されてくる可能性が高いと言えます。研究が進むことで、縄文文化に関心を持ち、その魅力に気付いてくれる人が増えることを願っています。
──先生がおっしゃる縄文文化の魅力とは?
谷口 現代人が自らの生き方や豊かさを考え直すヒント、とでもいいますか…。縄文人は約1万4000年もの間、自然資源を巧みに利用しながら、日本列島の風土に適応して生きていました。今、さまざまな技術が進歩する一方で、里山での持続可能な生活が見直されていますが、縄文人の生活文化は、こうしたエコロジー的な考え方の源泉といえるのではないかと思います。
──確かにその通りですね。
谷口 また、効率ばかりを求めない縄文人の精神性からも学べることもあると思います。
──と、おっしゃいますと?
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谷口 土器を例にとると、弥生時代の土器が使いやすさを重視したつくりであるのに対し、縄文土器には機能性を度外視したデザインがよく見られます。土器と土偶が融合した例などが最たるものです。おそらく、母体を表わす土偶の中で調理をすると神秘的な力が湧くと信じられていたのでしょうが…。
──確かに、現代人にはなかなか理解できない感覚ではありますが、その一方でとても豊かな精神性も感じられます。言われてみれば、現代人のわれわれはどこか生き急いでいる印象を受けます。一方、アーティストなどを中心に精神的文化を再度考えようという人たちも出てきているようで、縄文文化を知ることが、自身の生き方を見直すことに通じるということはあるのかもしれませんね。
本日はどうもありがとうございました。
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