こだわりアカデミー
われわれの生活の中で、大切な役割を担っている「音」。 もっと関心を持ってもらえたらうれしいです。
身近な「音」について知るための「音響学」
(一財)小林理学研究所理事長・東京大学工学博士
山下 充康 氏
やました みつやす

1938年東京都生まれ。64年学習院大学大学院自然科学研究科物理学専攻修士課程修了、79年東京大学で工学博士号を取得。これまで東京音楽大学、学習院大学理学部、日本大学文理学部等で「音響学」の講義を行っており、現在は(一財)小林理学研究所の理事長。環境省の音響保全事業「残したい日本の音風景100選」の座長も務め、騒音研究では国内外から高い評価を受けている。著書は、『謎解き音響学』(丸善)、『音饗額−名画に探る音の不思議』(建築技術)、『音戯話』(コロナ社)など。
2013年5月号掲載
──それは意外ですね。あのダ・ヴィンチも、音には特別の関心を寄せなかったなんて・・・。
でも、普段は取り立てて気付きませんが、音楽や会話、合図や警報など、われわれは音を使いこなしながら生活しています。そう考えると、音が果たしている役割は大きいといえますね。
![]() |
山下 その通りです。
例えば、ペンのキャップを閉じるときの「カチッ」と鳴る音で、キャップが確実に閉じられたことを確認できますね。部屋の電灯のスイッチや自動車のドアロックなどもそうです。また、時代劇の合戦の場面などで、ほら貝やドラ、太鼓による音信号が使われる光景を目にしますが、これは音というものが昔から広い範囲に散らばっている仲間に指令を伝える手段として使われていたことの証しでもあります。不意の敵の襲来に備えて地面に耳を当てるとか、飛行機の音を聞いて敵機の存在を知るなどもそう。音は軍事とも深い関わりがあったようです。
音のないところに音を感じる、日本人ならではの感性
──とても興味深い話ですね。
ところで、先生はなぜ音響学のご研究を始められたのですか?
※山下充康先生は、ご永眠されました。生前のご厚意に感謝するとともに、慎んでご冥福をお祈り申し上げます(編集部)
サイト内検索