こだわりアカデミー
私たち動物は なぜ眠るのか? その謎を解明していきたい。
脳内の情報伝達物質「オレキシン」が睡眠と覚醒を制御
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長
柳沢 正史 氏
やなぎさわ まさし

1960年東京都出身。85年筑波大学医学専門学群卒業。88年同大学大学院基礎医学系博士課程修了(医学博士)。89年同大学基礎医学系薬理学講師。91年京都大学医学部第一薬理学講師。同年テキサス大学サウスウェスタン医学センター准教授兼ハワードヒューズ医学研究所准研究員。96年同センター教授兼同研究所研究員。2001年(独)科学技術振興機構(JST/ERATO)柳沢オーファン受容体プロジェクト総括責任者(07年3月まで)。03年米国科学アカデミー正会員に選出。10年内閣府最先端研究開発支援プログラム(FIRST)「高次精神活動の分子基盤解明とその制御法の開発」の中心研究者に(14年3月まで)。同年筑波大学教授を兼務。12年現職。専門分野は、分子薬理学・神経科学。研究テーマは、睡眠覚醒・摂食・ストレス行動などの中枢性制御機構。
2013年11月号掲載
大学発の画期的な治療薬開発へ
──ズバリお伺いしますが、IIISでは今後、どのような研究成果が出せそうですか?
柳沢 5年後までに「オレキシン」の働きを模倣する薬をつくり、「ナルコレプシー」の患者にとって画期的な治療薬を開発したいです。製薬会社には、マーケットが小さいという理由でなかなか興味を示していただけませんが、当機構発の創薬の開発を目指していきます。
さらに、「眠りとは何のためにあるのか」という謎の解明も進めていきたいと考えています。
──といいますと?
柳沢 眠っている状態というのは、意識がなくなっているので、敵から襲われても身を守れませんし、食べることもできません。進化論的にいえば、非生産的で極めて危険な状態といえます。それにもかかわらず、眠らない動物、種族というのは発見されていません。とても重要な役割があるはずなので、その謎に迫っていきたいのです。
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IIISでは、数千匹のマウスを対象に、睡眠に関わる遺伝子の調査を行っている<写真提供:柳沢正史氏> |
──なるほど。そもそもなぜ寝なくてはいけないのか、眠りの目的そのものが未だに分かっていないということですね。
どのようにして、研究を進めていくのですか?
柳沢 現在は、何千匹というマウスを対象に、ランダムな突然変異を起こさせて、睡眠に異常を来たす遺伝子変異を探っているところです。
──気の遠くなるような地道な作業ですね。
柳沢 はい。「オレキシン」が覚醒・睡眠のスイッチだということは分かりましたが、今はまだそのスイッチを何が押しているのかが全く分かっていないですから…。
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IIISでの研究の様子<写真提供:柳沢正史氏> |
──このような地道な実験を通じて研究を行っていくことが、きっと大きな成果につながっていくと思います。
ぜひ今後とも頑張ってください。本日はありがとうございました。
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