こだわりアカデミー
全く新しい概念から生れた「先端研」。 活性酸素の研究では、初めて理論から薬をつくり出すことに 取り組んでいます。
活性酸素と抗酸化物
東京大学先端科学技術研究センター センター長
二木 鋭雄 氏
にき えつお

1939年大阪府生れ。63年東京大学燃料工学科を卒業後、同大学大学院工学系研究科燃料工学を専攻し68年博士課程を修了。同年同大学工学部助手。69年スタンフォード研究所客員研究員、75年同大学工学部助教授を経て86年教授に。90年先端科学技術研究センター教授、今年センター長に就任。工学博士。石油学会論文賞、油化学技術論文賞、ビタミン学会賞を受賞。
1997年12月号掲載
過度の日光浴やタバコの吸い過ぎには注意が必要
──ところで、活性酸素が体内でできるということはいろいろな記事を読んで知ってはいるんですが、ほかにも外的な要因があるんでしょうか。
二木 まず強い光を浴びることで活性酸素が発生します。かつては健康の秘訣として「太陽にあたって日光浴をしよう」などということが言われていましたが、紫外線はものすごくエネルギーが強いため、活性酸素をつくりそれが皮膚癌の原因になります。
放射線が当たるのも同じです。ですから、レントゲン技師はレントゲンを撮る時、必ず防御服をつけますね。特に妊婦がレントゲンを撮らないというのは、生殖機能は活性酸素に弱いものですから、X線にあたらないようにしているわけです。
それから、最近バリウムを飲んで胃を透視するという検査をあまりしなくなったのは、X線をあてることで、胃癌を調べるのと同時に活性酸素をつくってしまっているわけですから、結局胃癌をつくっているのと同じになるからなんです。
あと意外に多いのがタバコです。タバコの煙を吸うとかなりの活性酸素が体内に入り、吐き出した煙にはほとんどない。ということは、体内で大体が反応してしまっているということになる。
──活性といわれるぐらいだから、すぐに何かと反応してしまうわけですね。
二木 その通りで、非常に反応性に富んでいまして、DNAも障害を受けてしまいます。しかし、そんなに簡単にみんながみんな癌にならないのは、きちんと防御する素晴らしいシステムが体の中に張りめぐらされているからです。
もともと生物が地球上に生れた時には酸素はほとんどなかった。ですから本来生物は嫌気性で、彼等にとっては酸素は毒だったわけです。しかし、植物が増え光合成でだんだんと酸素が増えてくると、適応進化した生物、酸素の毒性を防御する力をもった生物が出てきた。これがわれわれの祖先です。ですからわれわれの体内にも、その防御システムが生かされている。しかし、過度の日光浴やタバコの吸い過ぎは、こうした制御システムが対応しきれなくなってしまいますから注意が必要ですね。
──例えば食べ物とかでも防ぐ手だてはあるんでしょうか。
二木 現在では日本や欧米の疫学研究で、どんな食べ物にどんな抗酸化物質があるかといった研究が進んでいまして、ビタミンCやEなどは抗酸化物質として使われています。
またそういう抗酸化物質を含んだ健康食品が最近増えてきていますね。
1999年3月末日をもってセンター長を退任。
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