こだわりアカデミー
汚れを防ぎ除菌、消臭、清掃作用も。 「光触媒現象」を大発見、多分野で実用化
汚れない外壁、曇らないガラスのわけは?
東京理科大学学長
藤嶋 昭 氏
ふじしま あきら

1942年東京都生まれ。71年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。75年東京大学工学部講師、76〜77年テキサス大学オースチン校博士研究員。78年東京大学工学部助教授、86年同学部教授を経て、95年東京大学大学院工学系研究科教授。2003年(財)神奈川科学技術アカデミー理事長、同年東京大学名誉教授、05年東京大学特別栄誉教授、06年日本化学会会長。10年より現職の東京理科大学学長に就任。著書に、『光触媒のしくみ』(共著・日本実業出版社)、『時代を変えた科学者の名言』(東京書籍)、『光触媒が未来をつくる』(岩波書店)、『理系のための中国古典名言集』(朝日学生新聞社)ほか。
2016年10月号掲載
病院の床や壁にも使用。大腸菌が死滅!!
藤嶋 まずはじめに、強い酸化力によって大腸菌を酸化させ、大腸菌が分解できるのではないかと考えました。そこで、トイレのタイルを酸化チタンでコーティングしてみたところ、大腸菌以外にも様々な菌を殺菌でき、悪臭の原因となる菌も殺せることが分かりました。そこで、試しに病院の手術室の壁や床に使ってみたところ、大腸菌や緑膿菌などの細菌がほぼ死滅したんです。
──劇的な効果ですね。
藤嶋 はい。さらに実験を続けていき、タバコのヤニによる汚れや臭い、油汚れなども分解できることが分かり、さまざまな製品に応用されるようになったのです。また、研究を進める中で、酸化チタンが水になじみやすい「超親水性」という性質を持つことも分かってきました。超親水性とは、簡単に言えば、酸化チタンを外壁やガラスにコーティングすれば、雨が水滴にならず、膜のように広がる性質です。この性質を利用したのが先ほど申し上げた建材への応用で、汚れの下に雨水が入り込んで、汚れが洗い流されるのです。
──なるほど。代替エネルギーからの発想の転換があったからこそ、今日の幅広い応用につながったのですね。
今後はどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか?
藤嶋 今、農業や医療分野での活用も手掛けています。光触媒を使って水耕栽培の養液を浄化して循環させたり、マラリヤやデング熱などの病気を媒介する蚊をおびき寄せて駆除するといったことに挑戦しています。
──それは楽しみですね。先生の柔軟な発想で、今後もさまざまな分野での成果を期待しております。
本日はどうもありがとうございました。
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藤嶋 昭先生は、2018年に同大学栄誉教授になられました。
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