こだわりアカデミー
方向オンチは、ちょっとした工夫と努力で 克服することができるんです。
方向オンチの心理学
静岡大学教育学部助教授
村越 真 氏
むらこし しん

むらこし しん 1960年、静岡県生れ。85年、東京大学大学院工学系研究科修了。静岡大学教育学部講師を経て、90年より現職。14歳からオリエンテーリングを始め、大学入学後、本格的に競技に参加。19歳で全日本オリエンテーリング選手権チャンピオンとなり、以後15連覇、通算21勝の記録を持つ。著書に『道迷い遭難を防ぐ 最新読図術』(01年、山と渓谷社)、『方向オンチは人生オンチ!−』(02年、サンマーク出版)、共訳に『頭の働きを科学する│学習・記憶・脳(P.チャンス他編)』(91年、マグロウヒル出版)など。
2002年7月号掲載
山での道迷いを防ぐためには、自然を甘く見ないこと!
──ご著書によると、1999年1年間の山での遭難者は1,494人にものぼるそうですね。また、そのうち道迷いによる遭難者は524人。その多さに驚いたのですが、一体何が起因しているのですか?
村越 アウトドアや中高年の登山ブームで、自然について認識が浅い人が、自然の中へ入るケースが多いのが原因でしょう。現地の地形、環境、天候、所要時間といった諸条件を把握せず、何とかなるだろうと山に入ってしまう…。これでは道に迷うのも当然ともいえます。
──そこに、焦りや恐怖などの心理が絡み、ますます道迷いを深めてしまうのでしょうね?
村越 その通りです。グループの場合などは、リーダーのプライドや責任感が、逆に事態を悪化させてしまうこともあります。リーダーが間違いを修正できないケースも多いんですよ。また、他のメンバーもリーダーに向かって「間違っているぞ」とは指摘しづらく、リーダーもそう簡単に間違いを認めたくないと…。
──分るような気もしますが、山では問題が生死に及びます。そんなことをいっている場合ではないですよね?
村越 そうなんです。そうしている間にも焦りや恐怖は増大し、最後は「とにかくこの場を離れたい!」「動いてさえいれば生還のチャンスが増えるはず!」「だけどやっぱりもう無理かも…」等の気持ちが交錯し、ますます合理的な行動がとれなくなってしまうのです。
──では、そうならないために最低限すべきことというと?
村越 道順や天候などの下調べを、地図等の情報をもとにしっかりする。また、山に入ったら計画通りに進んでいるのかを常に確認する。そして今、自分が地図上のどこにいるのかを把握する、この3つの作業を繰り返し行なうことが重要なのです。これに勝る予防策はありませんよ。
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『道迷い遭難を防ぐ 最新読図術』(山と渓谷社) |
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